潮風のおくりもの 掛川恭子訳

ことばって、意味がわからなくても音でつたわるものがある

 やさしいまなざしにあふれた本です。島の最後の避暑客が去るとき、埠頭では、アコーディオン、バイオリン、サキソフォン、パグパイプを演奏して見送ります。
ある夏が終わり、潮風のおくりもののように、ラーキンの家に赤ちゃんのソフィーがやってきます。 
 
 おとうさん、おかあさん、おばあちゃん、ラーキンはそれぞれがせいいっぱい、ソフィーに愛情を注ぎます。

 島には静けさが戻り、秋のむこうに長い冬がやってきます。
変化のない孤独な島の冬。

おとうさんは、タップをおどり、
おかあさんは、絵をかきます。
少女は、この冬、ことばにであいます…。

  「ソフィーにはわからないよ。」
   ラーキンはいいました。

  「かわらなくてもいいのよ。
   ことばがもっている音がすきなんだから。」
   バードおばあちゃんがいいました。

  「ことばには命があるということを、しっていたかい?ことばには小さな祈りがあって、きえるまえに、音とおなじくらいのスピードで、空中をつたわっていく。小石を池のまんなかめがけてなげると、波紋がひろがるみたいに。」


 それから、少女は、孤独のなかで詩にであいます。

  「詩には、この世のなかのあらゆるものがつめこまれています。わたしがしなくてはならないのは、よく見て、よく耳をすますことです。読んでいるあいだじゅうずっと」


 ことばのひびき、風、雲のながれ、空のかがやき、音楽、木々のゆらめき、まなざし、「愛された思いで」は、残ります。はるか未来までずっと。命をつくるものなのかもしれません。

かたわらの愛猫にも、やさしいことばで語りかけたくなりました。
ことば、大切にしたいと思いました。
図書館で借りた本ですが、持っていたいと思い購入しました。