2016-01-01から1年間の記事一覧

「ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記」 和田まゆ子訳

10代にただ1つの世界、生存だけをめざす世界にいた一人のユダヤ人少女の記録です 平成18年発行です。作者ウルスラがナチの迫害から逃れて上海で9年間を過ごし、戦後アメリカに渡り、それから60年経ての発行です。ウルスラは本のなかでのべています。「わた…

 「作りおきおかず180」 奥田和美

毎日の食事が楽で楽しくなりました こんな本が欲しかったです。奥田さんは、ブログ「たっきーママ」で大人気の主婦だそうです。ナットク!! ブログの読者は子育て真っ只中のお母さんや兼業主婦が多いそうですが、夫婦ふたり暮らしのわが家のスタイルにピッ…

『にぐるま ひいて』 ドナルド・ホール作 バーバラー・クーニー絵 もきかずこ訳

慎ましい暮らしの豊かさ この絵本も大好きなバーバラー・クーニーの絵です。クーニーがアメリカの自然、その自然に根ざした暮しをどんなに愛したか伝わってきます。 語り継がれてきたアメリカの古き良き時代の暮らしぶりを伝えています。10月 とうさんは …

『袋小路の男』

すてきな恋愛小説です 読み終えた後、もう一度読み返しました。すぐ続けて読むのは私には珍しいです。読み飛ばしたものがあったからではありません。いい気持ちをもう一度味わいたかったからです。 大日方日向子と小田切孝の物語です。ふたりは、高校の先輩…

『あなたと共に逝きましょう』 

リアルな描写、ずしりときました 図書館で借りた本です。読んで、自分の本棚に持っていたいと思う本と、そうでない本があります。この本は、持っていたいと思わない本です。だからといって、おもしろくなかったわけではありません。むしろ、とても面白くあっ…

『だいすき』 ハンス&モニック・ハーヘン作 マーリット・テーンクヴィスト絵   野坂悦子、木坂涼訳

オランダの作家と画家の詩画集です。 訳はわたしの好きな詩人、木坂涼さんです。 幼い少女の瞳に映った日常のつぶやきが、美しい詩になっています。 絵のなかの少女が、魔法使いになったのでしょうか、いくつかは、おまじないのことばとなって、私の生活にも…

『コルシア書店の仲間たち』 

熟成した深い味わい 彗星のように現れた、といっても過言ではありません。ある時期突然、どこの本屋さんに行っても、著者の本が、目立つところに山積みになって置かれるようになりました。初めて目にする名前に、誰だろうと思っていました。それから次々と新…

『40歳からは食べ方を変えなさい!』 済陽高穂

これならすぐ実践できそう 健康に関する本はたくさんあります。内容も、朝食は摂るべきだ。いや、摂らない方がいい。生野菜は体を冷やすからよくない、いや、酵素がいっぱいあるから生がいい。玄米は栄養の宝庫だ。いや、毒素があるから良くない。と正反対の…

『雲南の妻』 

こういう世界もあったのかと、自分が拡げられたような感じがします この作家の『焼野まで』と『光線』を読んで、つらい内容なのに、心地よさと安堵感をおぼえ、不思議な気持ちになりました。それで、他の作品を読んでみたくなり図書館で探しました。お目当て…

『暖炉の火のそばで』

ターシャさんの世界は、私のあこがれです 初めてターシャさんの本を手にしたときはびっくりしました。開拓時代の本かと思ってたら、今現在の本でした。アメリカの古き良き時代にタイムスリップしたようでした。そのとき、私もこういうに暮らせたらいいなあと…

  『さむがりやのサンタ』                            レイモンド・ブリッグズ作・絵 すがはらひろくに訳

12月の声がきこえてくると、きまって手にする絵本 カレンダーをめくり、あららもう、今年も2ケ月で終わりなの、来月は12月だ、と思ったあたりからそわそわしてきて、本棚からこの絵本を取り出してみます。 サンタがさむがりだなんて笑っちゃいます。いっしょ…

『 時の雨 』 

詩のミューズというのがぴったりの詩人 この詩集が、読売文学賞を受賞したときのことばに、「自分の力を超えるものが、私の手をとり、書かせてくれた。それは詩の女神というより、デーモンのような気がします」とありました。私にとって、高橋順子さんの詩 …

『「体を温める」とすべての痛みが消える』  坂井学

温めて、温めて、頑固な腱鞘炎が治りました 手の腱鞘炎は長いつきあいでした。最初は、右手のバネ指で、整形外科に何度も通い、注射を打ってもらっていました。なかなか治らず、観念して中指と薬指の2本を手術しました。 次は、左手指。また病院で注射を打っ…

『エマおばあちゃん』                                                ウェンディ・ケッセルマン文 バーバラ・クーニー絵 もきかずこ訳

わたしもエマおばあちゃんをめざして バーバラ・クーニーの絵が大好きなので、手に取った絵本です。 エマおばあちゃんは、私の理想です。私も70歳を越えたら、自然のなかで、自分の好きなことに夢中になって楽しく暮らしたいです。この「夢中になって」とい…

『長田 弘 全詩集』 

本を持つということ 長田弘さんのほぼ全部の詩が収められた詩集です。長田さんが亡くなられる直前に出版されました。 長田さんの本は、ほとんど持っています。でもこの全詩集も本棚に置いて、いつも目にふれていたいと思いすぐ求めました。白と薄緑色の表紙…

『空白の五マイルチベット、ツアンポー峡谷に挑む 』                                  

衝撃的な出会い 忘れもしません。2010年の真夏の暑い日でした。涼を求めて入った書店で出会いました。「チベット」という文字とちょっとおどろおどろしい表紙が目にふれ、手にとってみたのです。とたん、釘付けです。ふと、これはいつの時代の話だろうと、後…

『朝の捜し物』   

豊かな感性に、立ち止まってしまいました昨夜、送ってくれたとき あなたは 初めて 夜の真中へ 高く高く私を抱き上げた その場所に 私は 今も半身いるようだ これが証拠とでもいうように 落ちているイヤリング 「朝の捜し物」より夜と朝が、とてもとても素敵…

『怒りの葡萄』 大久保康雄訳

不朽の名作を実感 世界の名作といわれる長編を、苦しむことなく一気に読んだのは初めてです。長編はなかなか登場人物や状況が、頭にはいるまで四苦八苦し、途中挫折することが多いですが、最初から引き込まれました。 この本を読む前に、「二十日鼠と人間」…

『満月をまって』                                     メアリー・リン・レイ文 / バーバラー・クーニー絵 / 掛田恭子訳

木の声をきき、風の歌を編んだ、かごつくり職人のものがたり この絵本は、100年以上も前の、アメリカのニューヨーク州のハドソンに近い山間に住むかご職人の話です。 満月になると、お父さんはつくったかごをかついで、ハドソンの町へいくのでした。月が道を…

『風の中のシルレル』  

青春の孤独をうめてくれた心の友 この本は、1972年留学を終えて帰国する途中の飛行機事故で亡くなった原葵さんの遺稿集です。残された日記に書かれていた詩や散文がおさめられています。 この詩や散文は、外部に発表するものではなく、葵さん自身がとして、…

『ことり』 

哀しく、愛おしい小説 作家絲山秋子氏のHPを時々のぞきます。そのなかに「絲山賞」(絲山氏がその年に読んだ本のなかで一番面白かった本)があります。『ことり』は、その絲山賞の第10回受賞作品です。さっそく読んでみたくなりました。 読後、切なく愛おし…

『切り株ものがたり』 

児童書というジャンルがいっぺんに吹っ飛びました この本の分類は、児童書(小学校中級から)です。一気に読み、あまりに余韻が大きかったので、あらためて本を手に取りながめました。 意外にも発行は2013年とあります。昔の話ですが、古い本ではありません…