2017-01-01から1年間の記事一覧

 『一本の葦にはあれど』

35年を経て出会いましたこの本を地元の図書館で検索して、見つかったときはうれしかった。閉架図書となっていたので、職員から手渡されました。 出版は1981年。そのころの私の勤め先が、著者の加藤勝彦さんとご縁があって、この本を贈っていただきました。そ…

  『雪男は向こうからやって来た』

雪男とどういう遭遇をしたのだろうか…このタイトルからすると、角幡さんは、雪男の存在を肯定しているように思います。しかし、本当に遭遇したらこういうタイトルにはならなかったと思います。ではどんな遭遇をしたのだろうか、それと、そもそも角幡さんと雪…

 『スクラップ・アンド・ビルド』

感情の動きがリアルに描かれストレートに響く芥川賞作家の受賞作品です。 タイトルの「スクラップ・アンド・ビルド」からして、どんな古い概念が壊れ、どんな新しい概念が生まれるのかと思いながら読み始めました。 若者と高齢者の話なので、高齢に向かって…

「ホテルローヤル」 

作家の優しい眼差し 「ホテルローヤル」は直木賞受賞の話題作で、読んでみようと、図書館で借りようとしたら、なんとすごい数の予約待ちでした。では、順番を待つ間、この作家の他の本を読んでみようと思い、何冊か読みました。いずれも、読みやすく引き込ま…

   『凍原』

背筋がゾクゾクしました桜木紫乃さんのミステリーです。 釧路の湿原で男性の他殺死体が見つかりました。被害者はカラーコンタクトをしていました。その下には青い目……。 犯人はだれか。なぜ殺されなければならなかったのか。青い目が物語るのは…。私は、すぐ…

「蛇行する月」

女友達が恋しくなりました 桜木紫乃さんの本は、冬の寝床で読むのにぴったりの本です。 この冬は、風が強く、雲が吹き飛ばされた夜空に、月がそっと浮かんでいました。 夜毎、月は欠けていき、眉月になりました。細くなるにつれて月の光が強く感じたのは、こ…

 潮風のおくりもの 掛川恭子訳

ことばって、意味がわからなくても音でつたわるものがある やさしいまなざしにあふれた本です。島の最後の避暑客が去るとき、埠頭では、アコーディオン、バイオリン、サキソフォン、パグパイプを演奏して見送ります。 ある夏が終わり、潮風のおくりもののよ…

 『私の好きな孤独』

必要なときに語りかけてくれます長田さんの本はいつも手の届くところに置いてあります。 今朝、ふと手に取りました。ランダムに開いて、読みました。今日は、「伯父さん」というページでした。長田さんの伯父さんのお話です。 たくさんの「ちょっとしたこと…

『星々たち』

哀しい星々の物語に浸りました 9つの短編が収められていて、1つ1つが独立していますが、全体を通して、塚本千春の13歳から40半ばまでの半生が描かれています。その前後に母咲子、娘やや子が描かれていますので女三代記ともいえます。そしてこの3人と関り…

『ターシャ・チューダーの手帳2017』

数少ない大のお気に入り これは、本ではありません。手帳です。 2年前から日記帳として愛用しています。 近くの書店やステーショナリー店にはおいてなく、今年の分は手に入れ損ねていました。 日記帳代わりになりそうなノートが手元にいくつかあったので、…

 『起終点駅 ターミナル』

雪と潮風の匂い、澄んだ余韻 映画を観て、原作を読んでみたいと思い、本を手にしました。桜木紫乃さんの本は初めてでした。まず、長編だと思っていたので短編であったことにおどろきました。1冊にこの他5つの短編おさめられています。 本の表紙の絵は、内容…

 『まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本』 なかしましほ

美味しい、体にやさしい、めんどうでない、この三つがそろっています 夫が、病気を患ってから、食べるものに気をつかうようになりました。 コーヒー、紅茶が好きな私たちに欠かせないのが、クッキーやビスケットです。何よりもお茶でくつろぐ時間が好きなの…

「薄情」

わたしの薄情 私は絲山秋子を信頼しています。絲山氏の「袋小路の男」の女主人公が「彼は作家です」と言い切る心情と同じだと思っています。絲山氏の本をもっと読んでいけば、その理由もはっきりするかもしれません。 いつものように、長くはない文章の間に…