2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『長田 弘 全詩集』 

本を持つということ 長田弘さんのほぼ全部の詩が収められた詩集です。長田さんが亡くなられる直前に出版されました。 長田さんの本は、ほとんど持っています。でもこの全詩集も本棚に置いて、いつも目にふれていたいと思いすぐ求めました。白と薄緑色の表紙…

『空白の五マイルチベット、ツアンポー峡谷に挑む 』                                  

衝撃的な出会い 忘れもしません。2010年の真夏の暑い日でした。涼を求めて入った書店で出会いました。「チベット」という文字とちょっとおどろおどろしい表紙が目にふれ、手にとってみたのです。とたん、釘付けです。ふと、これはいつの時代の話だろうと、後…

『朝の捜し物』   

豊かな感性に、立ち止まってしまいました昨夜、送ってくれたとき あなたは 初めて 夜の真中へ 高く高く私を抱き上げた その場所に 私は 今も半身いるようだ これが証拠とでもいうように 落ちているイヤリング 「朝の捜し物」より夜と朝が、とてもとても素敵…

『怒りの葡萄』 大久保康雄訳

不朽の名作を実感 世界の名作といわれる長編を、苦しむことなく一気に読んだのは初めてです。長編はなかなか登場人物や状況が、頭にはいるまで四苦八苦し、途中挫折することが多いですが、最初から引き込まれました。 この本を読む前に、「二十日鼠と人間」…

『満月をまって』                                     メアリー・リン・レイ文 / バーバラー・クーニー絵 / 掛田恭子訳

木の声をきき、風の歌を編んだ、かごつくり職人のものがたり この絵本は、100年以上も前の、アメリカのニューヨーク州のハドソンに近い山間に住むかご職人の話です。 満月になると、お父さんはつくったかごをかついで、ハドソンの町へいくのでした。月が道を…

『風の中のシルレル』  

青春の孤独をうめてくれた心の友 この本は、1972年留学を終えて帰国する途中の飛行機事故で亡くなった原葵さんの遺稿集です。残された日記に書かれていた詩や散文がおさめられています。 この詩や散文は、外部に発表するものではなく、葵さん自身がとして、…

『ことり』 

哀しく、愛おしい小説 作家絲山秋子氏のHPを時々のぞきます。そのなかに「絲山賞」(絲山氏がその年に読んだ本のなかで一番面白かった本)があります。『ことり』は、その絲山賞の第10回受賞作品です。さっそく読んでみたくなりました。 読後、切なく愛おし…

『切り株ものがたり』 

児童書というジャンルがいっぺんに吹っ飛びました この本の分類は、児童書(小学校中級から)です。一気に読み、あまりに余韻が大きかったので、あらためて本を手に取りながめました。 意外にも発行は2013年とあります。昔の話ですが、古い本ではありません…